● シュリーマンの語学の勉強法!外国語は音読、暗唱がオススメ「古代への情熱」より
こんにちは。えりこです。自他ともに認める語学大好きです。
語学の天才と言われる人々が、どのような方法で言語を習得してきたのか?にも、とても興味があります。
この記事では、語学の天才と言われるシュリーマンの勉強法についてお届けします。
さすが、語学の天才というだけあり、外国語の勉強法のヒントもいっぱいです。
シュリーマン伝記本(自伝)古代への情熱
このブログ記事は、シュリーマンの自伝の本に基づいて書いています。
シュリーマンはドイツの実業家、考古学者です。トロイア遺跡の発掘で有名です。
シュリーマン自伝の翻訳本は、数冊出版されています。
古代への情熱―発掘王シュリーマン自伝、佐藤牧夫訳、角川文庫、1967年
古代への情熱、立川洋三訳、ポプラ社、1968年
古代への情熱―シュリーマン自伝、関楠生訳、新潮文庫、1977年
古代への情熱―シュリーマン自伝、池内紀訳、小学館〈地球人ライブラリー〉、1995年
私の手元にあるのは、古代への情熱ーシュリーマン自伝ー」シュリーマン・関楠生訳です。
原著は、Selbstbiographie. Bis zu seinem Tode vervollstaendigt (ドイツ語) Heinrich Schliemann (著), Sophie. Schliemann (編集)です。
シュリーマン生い立ちと少年期の年表
シュリーマンはその生涯で十数カ国語を身につけたそうです。
母国語はドイツ語で、ラテン語については子供の頃から手ほどきを受けました。
しかし家庭の事情でギムナジウムを3ヶ月で退学し、言語の学習はそこで一旦中断します。
シュリーマンが外国語の勉強を再開したのは、時間的に余裕のもてる仕事についた20歳頃でした。
シュリーマン19歳までを、年表にまとめてみました。
ドイツのメクレルンブルク=シュヴェリーンで出生 牧師であった父から時折ラテン語の手ほどきを受けていた。 母の死後メクレンブルクの伯父にあずけられ、 そこで牧師補からラテン語の教えを受ける。
11歳
ギムナジウムに入るが経済的理由から 3ヶ月後に辞め、実業学校に移る。
1836年春 14歳
実業学校を卒業 メクレルンブルク=シュトレーリッツ 雑貨店の見習いとして就職 5年半、朝5時から夜11時まで働く。 ギムナジウムを退学になった酔っぱらいの粉屋から ホメロスの詩句100行の暗唱をきかされ、 ギリシア語への憧れをつのらせる。
1841年
胸をいため、いくつかの職を転々としたのち、 ボーイとして帆船に乗り込み、 オランダのテセル島の近くで難破。 ドイツに戻らず、アムステルダムへと向かう。
写真は、オランダのユトレヒトです。
語学人生のスタートはシュリーマンの場合20歳
シュリーマンは、ラテン語については子供の頃に手ほどきを受けました。しかし、今の日本でしたら、中学、高校に通っているであろう10代後半には勉強らしいことは、していません。
シュリーマンは、経済的な事情でギムナジウムを3か月で退学した後、実業学校に行きました。そして14歳からは、見習いとして朝5時から夜11時まで働く生活でした。
そして、20歳の時に英語を習得したのをはじめとして、生涯で10数カ国語を習得しています。
英語以外の言語については、もっと後からのスタートです。
勇気の出る話ではないでしょうか?
クリティカル・ピリオドという仮説があります。言語学習に適している子供の時期を逃すと、大人になってからは言語習得は難しいという説です。
子供の頃に外国語を学べる環境にいた方が、有利なことは確かでしょう。
ただし、いくつで初めても遅すぎるということは、ないのですね。
シュリーマン青年は、文字、そして英語からスタート
シュリーマンは、20歳で勉強をスタートしました。アムステルダムで事務所の給仕の仕事につくことが、できたのです。
まずは、読みやすい字を書く練習からはじめて、次に、6ヶ月で英語の基礎を身につけました。続いて6ヶ月でフランス語をマスターしました。
シュリーマンは、この過程で自分で語学習得法を編み出し、また、猛烈な勉強をしんぼう強く繰り返すうちに、記憶力が強化されたと書いています。
そして、オランダ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語の習得には6週間以上はかからなかったそうです。
もちろん、ヨーロッパの言語は、互いに似ている部分も多いです。
オランダ語は、英語とドイツ語に似ていますし、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語は、フランス語と同じラテン系言語です。
そして、初めて学ぶ外国語よりも、2つ目、3つ目の方がカンタンなのは、確かです。
それにしても6週間は、すごいですね。
勉強するうちに、記憶力が強化され、また、外国語を学習するコツをつかんでいったということなのでしょう。
外国語学習は短期集中!シュリーマンの没頭ぶり
外国語習得のためには、それなりの投資が必要です。
つまり、時間、労力、お金、を投資する覚悟が必要です。
時間でいうと、外国語をゼロから「とりあえず」使えるレベルになるまで、最低でも600時間が目安になると思います。
この600時間は、短期間に、一気に集中して投入されるとよいと思います。
ある程度のレベルまで達すれば、その後は 間が空いても、ゆるゆるペースで勉強しても、少しずつ上達していけます。
ある程度のレベルに達するまでは、下りのエスカレーターを駆け上るイメージです。間が空くと習ったことを忘れてしまいますから、効率が悪くなるのです。
語学の達人と呼ばれる人はたいてい 、ある一定期間、寝ても覚めてもというくらい外国語の学習に没頭する時期を経験しています。
英語を学習した時のエピソード
言語学習に、お金も時間も投資
語学の達人の一人シュリーマンが英語を習得したときは、毎日一回は授業を受けました。
日曜日にはイギリス教会の礼拝式に二度行き、説教を聞きながら小さな声でシャドウィングしました。
シュリーマンはそのときの様子をこう書いています。
私の年収は800フランに過ぎず、私はその半分を勉学にあてた。
残りの半分は生活費にあてたが、当然ひどい貧乏暮らしだった。私は学習のためにはどんなに短い時間でも活用したし、時間を盗みさえした。
使いに行くときはいつも、雨が降るときでも、本を持って行って、少しでもそれを暗記した。
郵便局で待っているときにも、本を読まないことはなかった。頭がひどく興奮していたために夜も少ししか眠らず、夜起きている時間はすべて、晩に読んだものを頭の中で繰り返してみることに使った。
まさに、言語学習に没頭していますね。
ここまで外国語中心の生活を送るのは難しいかもしれません。
それでも、外国語習得には、ある程度は時間、労力、お金の投資が必要になります。
記憶力も、英語とともに鍛えられた
シュリーマンは、20歳から英語の勉強をスタートしました。次にはフランス語を勉強しました。シュリーマンは、この過程で自分で語学習得法を編み出し、また、猛烈な勉強をしんぼう強く繰り返すうちに、記憶力が強化されたと書いています。
ハインリッヒ・シュリーマンの人物エピソード
初期の逸話。涙なしには語れないモチベーション!
語学の達人シュリーマンの外国語学習のモチベーションは何だったのでしょうか?
言語に対する憧れ、そして、今よりよい仕事につけるという実利的な理由もありました。
20代の頃は、シュリーマンはひどい貧乏暮らしの中、外国語学習に励んでいました。
シュリーマンはこう書いています。
みじめな境遇と、努力すればそこから抜け出せるという確かな見通しほど勉学に拍車をかけるものはない。私の場合はさらに、ミンナにふさわしい人間になりたいという願いが、私のうちに不屈の勇気をよびさまし、ふくらませていったのだ。
そういうわけで私は一心不乱に英語の勉強に打ち込んだ。
「古代への情熱ーシュリーマン自伝ー」シュリーマン・関楠生訳 より
シュリーマンは幼なじみのミンナと、大人になったら結婚しようと約束していたのでした。
シュリーマンはまた、ミンナについてこのように書いています。
その時 (注:14歳頃) 私は、ミンナがまだ私を愛していることを確信したのである。
この確信が私の功名心を燃えあがらせた。
このときから私は、自分の内に無限のエネルギーを感じ、これからはたゆまぬ努力を続けて立身し、ミンナに値するものになってみせようと堅く心に期するようになったのである。
私が当時神様にお願いしたことはただ一つ、私が独立独歩の地位を築き上げるまで彼女が結婚しないでいてくれることだけだった。
「古代への情熱ーシュリーマン自伝ー」シュリーマン・関楠生訳 より
この強い思いが、シュリーマンの外国語学習の強力なモチベーションになっていたのですね。
さて、努力の末、数ヶ国語を身につけ、転職、昇給し、やがて独立の立場を築き上げたシュリーマンは、人を介してミンナに求婚します。
しかし、シュリーマンが受け取ったのは、ミンナがほんの数日前にほかの人と結婚したという知らせでした。
ああ、かわいそうなシュリーマン。人生いろいろですね。
シュリーマンが追い出されたエピソードも
ある時、シュリーマンは毎晩大声で朗読しました。
その結果、他の間借り人が家主に苦情を持ち込みました。
そして、シュリーマンはロシア語の勉強中、2回も住まいを変えるはめになりました。
あらら。
2回も住まいを変えるとは、懲りないですね。^^
シュリーマンは生涯に何ヶ国語を習得?語学年表
シュリーマンは、その生涯に20ほどの言語を習得したといいます。
シュリーマン自伝から、拾ってみました。
1841年 20歳 英語、フランス語オランダ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、
1844年? ロシア語
1854年 スウェーデン語、ポーランド語
1956年から2年ほど 現代ギリシア語、古典ギリシア語
1958年夏 25年のブランクを経て、ラテン語の勉強を再開
1958年 事業から手を引くことを考える。アラビア語を学習
68歳で死去
語学の勉強法シュリーマンのオススメは?
語学の天才シュリーマンが、自伝で書いているおすすめの勉強法について、
独学ではなく、授業も受けていた
語学の達人シュリーマンは、まったく独学で勉強した訳ではありません。
シュリーマンは、外国語を勉強するときは、毎日1回はその外国語の授業を受けることと、作文をしては添削してもらうことを自らに課していました。
ひどい貧乏暮らしをしながらも、先生の指導を受けていたのです。実に収入の半分を語学の勉強にあてていました。
貧乏な中で、収入の半分を投資するとは、かなり思い切った選択ですね。
能力に頼らない!言語学習を継続する仕組み
語学の勉強は長丁場ですから、気分がのらない日もでてきますよね。
そんなときにも挫折せずに外国語の勉強を続けることができるように、語学を学習する習慣の仕組み化することが重要です。
つまり、あらかじめ、自分を怠けさせない学習サポートシステムを用意しておくのです。
シュリーマンが、毎日授業を受けたのも、そのような仕組みといえます。
シュリーマンがロシア語を学習したときには、どうしてもロシア語の先生を見つけることができませんでした。
そこでシュリーマンは、手に入れることができたロシア語の本を暗記することにしました。
そしてロシア語が一言もわからないユダヤ人を雇い、毎晩2時間その人の前で本の朗読を聞かせたのでした。
シュリーマンは、誰かそばにいてもらった方が進歩が早くなると考えたのです。
自分を怠けさせないためにのサポートシステムを作ったのです。
外国語の文法学習のコツ
シュリーマンは、古代ギリシア語を学習した時の文法の勉強法について、このように書いています。
ギリシャ語文法は、格変化と、規則助詞及び不規則動詞だけ覚えた。
一瞬たりとも、文法規則の勉強で貴重な時間を無駄にはしなかった。
というのは、子供達が、ギュムナージウムで8年間ずっと、いや、時にはもっと長い間、退屈な文法規則に悩み苦しんだ挙句、ギリシア語の手紙を一通書けば、何百ものひどい間違いを犯さずにはすまないことを見てきてたから、学校で行われている勉強法は全く間違っていると考えざるを得なかったのだ。
私の考えでは、ギリシア語文法の根本的知識は、実地練習、つまり古典の散文を注意深く読むことと模範的作品を暗記することだけで身に付けることができる。
音読は、最強の外国語勉強法!
そのうちの一つが、大きな声でたくさん音読すること、です。
シュリーマンは毎晩大声で朗読しました。
その結果、他の間借り人が家主に苦情を持ち込みました。
そして、シュリーマンはロシア語の勉強中、2回も住まいを変えるはめになりました。
あらら。
その代わり、シュリーマンは6週間後にはロシア語で手紙を書き、会話するまでに上達したそうです。
音読に限らず、リピーティング、シャドウィングなど、声に出す勉強法は本当にオススメです。
たとえ、外国語学習の目的が会話にはなく、読み書きのみだとしてもオススメです。
黙読だと、「目」のみですが、音読すれば、目、口、耳を使うことになるのです。
シュリーマンは音読するために先生を雇いましたが、今はインターネットで無料の音源も多数ありますし、CD付きのテキストも安価で手に入ります。
いい時代ですね。
ぜひ、声に出す勉強も取り入れてみてください。
暗唱、暗記は、シュリーマンの得意技
語学の天才シュリーマンはおすすめの勉強法をいくつか挙げています。
そのうちの一つが暗誦です。
シュリーマンは、英語とフランス語を学ぶ時、それぞれ二つの小説をそらで覚えたそうです。
暗誦により各国語の基本的知識を身につけたのですね。
シュリーマンは、3回注意深く読めば、先生の前で散文20ページを暗誦することができた、とまで、いっています。
本当だとすると、スゴイ暗記力ですね。
2冊まるごと、とまではいかなくても、暗誦はいいと思います。
特に初級から中級前半のレベルの方には、基本的な例文の暗誦をオススメします。
公式ではなく、例文をまるごと覚えることで、文法や語法の学習ができます。
基本的な文型パターンの例文をたくさん自分の中にストックしていくと、そのうち文法的に正しい文を感覚的にアウトプットできるようになります。
ぜひ、外国語学習の初期には、暗誦にもチャレンジしてみてください。
作文の添削、訂正、暗記
シュリーマンは、外国語勉強法として、作文もあげています。
興味のある対象について常に作文を書くこと。そして、先生の指導で訂正すること、添削を受けること。ここまでは、語学スクールや、マンツーマンレッスンなどでも、しているケースも多いと思います。
すごいのは、暗誦です。シュリーマンは、前の日に添削してもらい、直した文章を暗記して、次の授業で暗唱をしていたそうです。
そこまですれば、正しい文の構造を、しっかり体に染み込ませることができそうです。
翻訳
作文と近いですが、シュリーマンは、「ちょっとした翻訳をすること」も、語学の勉強法のコツとしてあげています。
シュリーマンは来日していた!日本旅行記
余談ですが、シュリーマンは、 1965年に、来日していました。横浜、江戸、八王子を訪れたそうです。
日本語についても興味を持ったのでしょうか?「オハヨ」と挨拶されたことを日記に書いてあるそうです。
語学の達人シュリーマンの外国語の習得法のコツ まとめ
シュリーマンの外国語の習得法のコツをまとめました。
ちょっとした翻訳をすること。
毎日1回は授業を受けること。
興味のある対象について常に作文を書くこと。
先生の指導で訂正すること、添削を受けること。
前の日に直した文章を暗記して、次の授業で暗唱をすること。
大きな声でたくさん音読すること。
小説を暗誦すること。
参考になりますね。
シュリーマンの他にも、語学の達人の外国語習得のコツを、こちらの記事でも、ご紹介しています。